ドイツ・フランス(2004/6/6-6/13)
緑がいっぱい、窓辺にゼラニウムの花が咲き誇る家々。まるでおとぎの国のようなドイツのフライブルクの町でした。通訳の村上さんの熱い思いと、ハイジのおじいさんのようなバスの運転手さんにお世話になり、私達の白いバスは出発しました。
☆森の幼稚園
一番初めに訪問した幼稚園は私の固定概念を頭から覆すもので、ほのぼのとした温もりを感じほっとさせられました。『森の幼稚園』。その響きから私は一番の期待をしていました。
やはり、期待を裏切らず緑の木立の中、小鳥のさえずりの中、かわいいコンテナの園舎?が見えてきました。お母さんと一緒に登園してくる子ども遠はコンテナの下のかばん掛けに持ち物を掛け、早速お気に入りの遊びを始めます。9時になると丸太のいすに輪になって座り、先生のギターに合わせて歌をうたい朝の会が始まります。
1グループ3歳から6歳までの20名まで、先生2名と実習生で成り立っているこの形式の保育園は市内に4園あるそうです。柵や囲いというものはなく、先生の声の聞こえるところ姿の見えるところで遊ぶという約束だけがあるそうです。だから行動範囲は草木の枯れる冬は広く、草木の生い茂る夏場は狭くなるということ。週に一回の調理の日、工作の日、お絵かきの日、遠出の日(公共交通機関を利用して図書館、プールヘ行く)障害児との交流の日があり、いろいろなプログラムのもとに子ども遠は活き活きと過ごしていました。この幼稚園で過ごした子の追跡調査の結果、思いやり、協調性、自立心が優れており、身体をよく動かしていることで頭脳にもよい影響を与えているということでした。
子ども遠にとっては悪天候というものはなく雨の日も、雪の日もそれなりの装備で登園し、自分たちで考えて行動するということでした。小さい擦り傷はしょっちゅうあるけれど大きい怪我はなく、病気をしないということがよくわかりました。視察したこの日は障害の子との交流散歩の日。散歩用のリュックをしょってそれぞれが楽しんで三々五々に出発しゆったりと歩いていきました。
危ないことと汚いことを避けて通りがちな目本の親さんはどう考えるのかな?とふと思いました。入園希望が多く,待ちリストがあることがよく理解できました。
☆フライブルク市の公立幼稚園
どの幼稚園も『PISA』(能力調査テスト)の結果、ドイツの子ども達の学力が低位置にあることをとても危惧しており、何かの形で対処しなければと模索していることが伺えました。オープンコンセクトの様式を取り入れている幼稚園がほとんどですが、どの園も斬新に対処し胸を張って保育していました。3歳から小学生までを受け入れている園も多く、縦割りグループですごす形態が自然に取り入れられていました。小さい子から大きい子まで無理なくすごせる配慮が様々な点で見られ学ぶべき点も多くありました。年長児を見て学ぶ、まねて成長することができる環境をうらやましく思い、日本の昔の群れて遊ぶ大切さが思い出されました。
☆プライズ先生の『数学の国あそび』
ドイツ式数学教育の開発者であるプライズ先生は、プライブルク教育大学の教授を退官し、ボランティアでTrausend Fuehler 幼稚園の数学のレッスンを行っておられるとのこと。4歳から6歳の12人の子があそびに参加し、子どもらしい姿で活き活きと遊んでいました。おじいちゃんといった感じのプライズ先生はゆったりとじっくりと子ども達を見つめ、それでいて的確にあそびを進めて行きます。
私たち視察者も時々あそびに参加して終始楽しんだり感心したりの視察でした。1から10までの数をあそびの中で色々な用具を使い、様々な角度から分解構成し自分で考えさせる姿、しっかり時間をとり話を聞き受け止める姿には共感し、自分の態度を反省する機会になりました。同年齢のグループでなく混合年齢のグループでもこういったあそびができるのには感嘆するとともに考えさせられました。あそびの中で、元気な男の子が女の子を泣かしてしまったりすることもあり、先生から注意を受けているのを見たとき、どこの国の子も一緒だとなぜかほっとさせられました。
☆フランス コルマール市の保育園
コルマール市の教育担当の助役さん、保育課の課長さん園長会長さんが同伴してくださっての視察でした。連日の暑さからやっと開放され、傘を手にしての訪問になりました。
(ア)公立保育園
フランスは3歳になると幼稚園に行き、産休明けから3歳までの子どもが保育園で過ごすということです。小さい子のいる施設ということでどの保育園も保育室、睡眠室、体育室等はしっかりと分かれており、園児だけでなく働く職員にも無理のない行き届いた構造でした。掃除洗濯をする専任の職員かおり園児数に対して十分な人数の保育士は保育にのみ専念することができるようでした。園児が服を掛けるフック、おむつ台、調乳室、どれをとっても工夫し熟考されたものでした。O歳児の子どもを預ける場合、母親も共に5日間を一緒にごし、その後慣らし保育をしていくという形態にきめの細かい配慮を感じました。神経質なほど消毒が行き届き、非衛生的ということで大きな砂場もなくこじんまりと整った園庭を見るとき、大胆に遊ぶ自分の園の子を思い出しました。小さいながらも、もっと自然に触れて遊んでほしいなと感じたのは私だけだったでしょうか。
(イ)個人委託保育施設
静かな住宅地の中にこの施設はありました。ブルーの壁が印象的で手入れのいき届いた庭にはかわいい洗濯物が干してありました。
保育資格のある人で、自宅保育を希望する人が市に登録を依頼してきたら市は許可できるか調査をした上で、適合すれば保育を委託します。60時間の研修の後、保育用品が市から支給され、給料が支給され保育が開始されます。保育時間は6 :30~20 : 00 まで月曜から金曜までです。週に1回、市の保育園に遊びに行き交流を図ります。緊急事態が発生した時は、市の保育課に連絡し対処を依頼するということです。産休明けから3歳までの子を預かり食事、洗濯の世話もするということでまるで家庭で保育するのと同じです。こういった施設は市内に20箇所あるということで、子育てを終わった人、逆に子育て真っ最中で、わが子と一緒に一挙両得で保育をする人が多いと聞きました。家庭的な温かい保育が受けられるこの制度には大変感銘を覚えました。
訪問した家庭も保育者と3人の子どもとの温かい関係が伺われ、ほのぼのとしたものを感じました。3年の保育が終了しても交流は続いているときき納得しました。
(ウ)保護者参加型保育園
閑静な住宅地の中、ごく普通の民家が改造され緑がいっぱいの広い庭のある保育園でした。
ちょうど、お昼寝中ということで十分に施設内を見せてもらうわけにはいきませんでしたが、代表者の若い父親から話を伺うことができました。
自分達の子どもを自分達の思いを込めた保育をしたい、自分達で育てるんだという気持ちのある20家族の協会運営であるとのことでした。市の補助は受けるが、運営費、人件費、保育内容ともに自主運営で、産休明けから3歳までの子を7:00~19 : 00 まで月曜から金曜まで預かっていました。
協会員の親は3年間の任期で運営し、代表、会計担当等役員は総会で相互にきめ、3年間に下記の4項目のうち1つは協力する義務があるということでした。
①1ケ月に4~8時間の運営参加
②家庭と園とのつながりを作るための保育参加
③月2回の園外保育(図書館、りんご狩りなど)の時の補助
④投資(玩具購入費、暖房管理費)
食事は完成品を取り寄せていました。少人数で親も子も家族ぐるみで分かり合え、自分たちで育てる自負がありました。代表者の父親は子育てに参加する喜びを言葉の端々に表し、自慢気でした。
フライブルク市、コルマール市共に園児に対する職員数は日本とは格段の差があり男性職員も含めゆったりと子どもに関わっていました。つい「早く早く」と子どもをせかしてしまう風潮にある日本。ゆったりと相手になれる職場環境に少しでも近づきたいと思います。
大垣市が幼保一元化の取り組みに向かう今、ドイツの小学生をも含めた異年齢保育は学ぶべき点が多くありました。様々な保育時間に対応する柔軟な保育体制、それに対応できる施設構造、人員配置等を考えるとき問題も多いのですが少しでも参考にできればと考えます。
貴重な時間と体験を与えていただいたことに感謝の気持ちでいっぱいです。
谷先生はじめ同行していただいた皆様にはお世話になりました。井の中の蛙がいっきに外に出て、目を見張るものばかりでした。異国の2市で学んだことを少しでも今後の保育に役だてたいと思います。国、民族が変わっても子どもに対する期待、責任、思いは変わらないと実感しました。かわいい子ども達が大人の熱いまなざしのもとにのびのびとたくましく育ち、これからの地球を平和で穏やかな星に育ててくれることを祈りたいと思います。











