オランダ・ベルギー(2002/6/2-6/9)
美しい緑の畑の中に家々が点在し、広々とした放牧地にのんびりと牛が草を這う「のどかな国」これが、オランダの第一印象です。この国の教育や生活に触れるにつれて、家庭を大切にする堅実な国民性と、日本とは違う労働体系を知り、真の豊さとは何かを考えさせられました。
【オランダの教育制度】
託児所 10週~4歳 働く親の子供を保育する。
ホームステイ 一般家庭で4人まで預かって面倒を見る。企業からの補助金は出ない。
保育園 2歳~4歳 週2~3回通園 午前だけ午後だけの場合が多い。
学校に行くための準備教育として捉えられ、日本の幼稚園に近い。
「子供の世話は親のするもの」という考え方が一般的で、親のパートタイムの時間保育し、それ以外は家庭で育てる。
幼稚園 4歳~5歳
就学前教育として、小学校の中に含まれ、小学校の幼稚園部の機能がある。
小学校 4歳~12歳(幼稚園を含む)
5歳から義務教育だが、最初の2年間は日本の幼稚園にあたる教育である。
中学生~ 12歳になると、全国共通学力テストを受け、大学進学コース・上級一般コース・中級一般コ ース・準備就職学校コースに分かれるが、途中で進路変更は可能である。
国は、最低限これだけは教えるという基準を示すが、それぞれの学校が、教育方針や学習形態など自由に決めて運営できる。学区や地域指定もなく、親は自分の子供に合った学校を慎重に選び決定する。
学校では、年齢ではなく、レベルに達すると次のクラスに進級する。子供の能力により、進級する速度はちがうが、一人一人の違いを尊重することを重視している。日本のように、よい大学に行ってほしいとか、飛び級してほしいという親の願いはない。大学に行くのは、学問をしたいのみで、資格社会のオランダでは、仕事に有利な各種資格を得られる職業学校が好まれる。
【オランダの小学校・幼稚園・保育園・託児所・学童保育所を視察して】
ライダードップ市のキリスト教プロテスタント学校カスタンヤラーンスクールのグループ1・2(幼稚園4~5歳16人)のクラスでは、水をテーマにした保育を見学した。教師を真ん中に、それぞれお気に入りのぬいぐるみをかかえ、話を聞いたり歌ったりする姿は、日本の子供より幼く見えたが、16人という少人数編成のため、落ち着いて静かに話を聞くことができていた。グループ3(小学校7歳)のクラスでは、ある時期内に与えられた課題を、自分のペースで達成するといった方法で授業が進められていた。教室内には、数のワーク・読み書き・絵画・砂遊び・パソコン等のコーナーが設けられ、各々自分で選んだ課題に真剣に取り組んでいた。ここも19人という少人数のためか、落ち着いて静かに取り組んでいる姿が印象的であった。教師は課題について説明したり、質問に答えたり、各自の進み具合を、チェックしたりして指導にあたっていた。運動場はないが小さな庭があり、休み時間は、年齢入り混じった子供たちが。のんびり過ごしていた。音楽と体育の授業はなく、親が子供の特性を考慮してクラブに連れて行くということである。
ライダードップ市保育協会(託児所・学童保育所)では、託児所のクラスを見学した。ここは、入学準備教室ではなく、リラックスできる環境を与え、そこで学ぶといったねらいで運営されている施設である。乳児クラスで、給食内容について質問したところ、ミルクは家から持ってくる。朝はクッキー・昼食はパンにチーズやレバーペーストやジャム等をぬる簡単な物とのとのことで、栄養のバランスを考えた日本の給食概念とは、かなりかけ離れていた。オランダ人は、食べ物にはこだわらず、一日1食だけ温かい物(調理したもの)を食べる習慣だそうだ。それにしても、女性も男性もすらりと伸びた足の180センチを超える長身である。
ライデン市のグローエンクローエンランドは、保育園と学童保育の場であり、またオランダ人以外の人が多い地域なので、就学前教育としてオランダ語の習慣を目的に、保育園でオランダ語を教えていた。また、学童保育の場では、料理や木工やゲームのできるコーナーがあり放課後のひと時を過ごす環境が整えられていた。
モンタッソーリ教育を行う小学校エリカックは、教科書を使わず、一人一人が色々な教具を使って学習する。勉強の進め方は、学習内容が偏らないよう教師がアドバイスするが、子供自身の自発性に任せるという特色ある学校である。同じ教室で一人一人が別々の課題に取り組むので、静かにするのが大前提なのか、室内では教師も子供も小声でやり取りし、集団で移動する際も、「静かに。」と声を掛け合う姿に感心した。また、美しい色合いの施設には、色彩感覚の優れた見事な子供の造形作品が掲示されており、一人一人の個性を大切にした指導が伺われた。
日本と違いオランダでは、パートタイマーの制度が定着していて、法律でパートタイマーが、守られている。そのためパートタイマーで働く人も多く、校長だけがフルタイマーで、他の保育士がすべてフルタイマーの施設もあったし、校長がパートタイマーの学校もあった。個人で自由に働く時間を選択できるので、昼食を家庭で取る習慣や、子供の送り迎えなど、子育てや家庭生活を重視した生活ができる。ある学校で、日本の保育園の保育時間を聞かれた。休日保育や夜間保育もあると答えると、「日本の母親はいつ子育てするのですか?」とのいぶかしげな言葉に、私たち日本人も、働くのに夢中になって大切な何かを見落とさなようにしたいものだと考えさせられた。次の時代を担う大切な子供たちを育てる基盤は、やはり健全な家庭であることと、また、家庭と協力して子供の発達を支援するのが学校であることを、改めて痛感した。
【ベルギーの教育制度】
ベルギーの子供たちは2歳半くらいからは幼稚園や保育園に通い始める。5歳にもなると小学校の義務教育が始まり、12歳からは中等教育となり高等学校卒業もしくは、19歳で義務教育を終える。学校の費用は国が補助し、学費は無料である。週完全5日制で、水曜日は午前中である。午後は区のクラブ活動に参加する子供が多い。給食は自由選択で、帰宅しても給食を受けても弁当でもよい。クラスの人数は30名前後である。成績等は、家庭に細かく通知される。学区制はなく選択で自由である。オランダ語・フランス語・ドイツ語の3つの公用語があり、小学校3年生ごろから学ぶことが義務付けられている。また、法律で0~14歳の子供の躾は、すべての行動面では監督が保護者の責任下にあるとされている。例として、横断歩道
を幼児と手をつながずに渡り事故に遭うと、保護者の責任問題となり、罰金を要求される。また、学校の送迎、エレベーターの一人乗り、戸外での子供だけの遊び等保護者の責任が大きい。
【ベルギーの小学校・幼稚園・託児所を視察して】
アントワープ市の聖レーブンスカレッジ(私立幼稚園・小学校)訪問で、最も感心したのは、危機管理の体制です。市街地にある、古いビルの大きな扉の前で、校長先生が出迎えてくれた。
扉の鍵を開け中に入ると、室内プールや小規模な運動場やレンガ作りの2階建ての校舎があり、奥には増設中の幼稚園の園舎や、修道院の畑があり、外からは想像できない広い施設があった。
入り口の扉のそばには、事務室があり、親の出入りもきちんと管理されていた。また、幼稚園は、小学校の1階にあり、5歳クラスは、読み書きや数への感心を高めるような教具やパソコンも設置されていた。講堂兼食堂に児童が集まり、コーラスやヴァイオリンとピアノの演奏が行なわれ、手作りの垂れ幕が飾られ、盛大な歓迎をうけた。また、フランス語の模範授業を見せてくれたり、音楽の先生が私たちのために作曲した曲を英語で合唱してくれたり心温まる時間を過ごすことができた。
市立幼稚園は、小学校に付属してないので幼稚園として独立している。本校は、2歳半~5歳まで256人で、分校に合わせると435人の園児数である。入園するには、用便の自立が第一条件であるとのことである。お遊びクラス(2歳半)1クラス・1年(3歳)4クラス・2年(4歳)3クラス・3年(5歳)3クラス合わせて11クラスの大規模園である。8時30分~15時30分は教師が保育して、申し出があれば、7時~8時30分と15時30分~18時までは、子守り人が面倒を見る体制になっている。園内は幼児の造形作品があらゆる所に色彩豊かに飾られ、また、手法も様々であり、発達段階に合わせて、系統立てた指導がなされていることが感じ取られた。幼児の感性を高めるために、芸術作品をレンタルして廊下に飾る等、環境構成で参考なされていることが感じ取られた。幼児の感性を高めるために、芸術作品をレンタルして廊下に飾る等、環境構成で参考になる点が多々あった。
市立託児所の保育時間は、7時~18時で、0歳~3歳までが対象である。アントワープ市には、35ヶ所託児所があり、すべての国の補助で運営されている。働く女性が増えているので、妊娠が分かった時点で、数カ所の託児所にすぐ申し込まないと入所できない現実は、日本と似ている。訪問した託児所は、定員30人の小規模な施設だが、清潔でカラフルで機能的だった。大きな青い瞳の天使のような赤ん坊を抱かせてもらい、研修で疲れた顔が、思わずほころんだ。
1週間駆け足の研修でしたが、オランダとベルギーの様々な教育に触れ、おた、温かい歓迎を受け、職員の方々と触れ合う中で、多くのことを学びました。今後この研修で学んだことを、広めていきたい思います。本当に本当に貴重な体験をさせていただきありがとうございました。
(研修報告書より抜粋)